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東工大物理'07年前期[2]

東工大物理'07年前期[2]

 図1に示すように、断面積S[]の円筒状シリンダー密閉容器が、滑らかに動く質量m[kg]のピストンによりA室とB室に仕切られている。A室とB室にはそれぞれ気体を封入することができる。両室の気密性は高く、気体の漏れは無視できる。ピストンおよびシリンダーの側面と底面は熱を通さない。一方、シリンダーの上面は熱を通す。シリンダー各室内では温度と圧力は常に均一である。重力加速度を,シリンダーに封入される理想気体の定積モル比熱を,気体定数をとし、以下の問いに答えよ。ただし、シリンダーに封入される理想気体の質量はピストンの質量に対し十分に小さく無視できる。
[A] まず、A室のみに1モルの理想気体を封入したシリンダーを水平な床に垂直に立てた。B室は真空である。ピストンはシリンダー上面から糸によりつるされた状態で静止しており、このときのA室内の気体の体積、温度、圧力は、それぞれであった。B室の体積はであった。この状態を初期状態と呼ぶ。
(a) ピストンをつるしている糸を切断したところ、ピストンは気体の体積がになるまで下方に移動し、その後は上方に向かう運動に転じた。ピストンが最下点に達したときの気体の温度をとする。このときの気体の内部エネルギーの初期状態に対する変化量を用いて表せ。
(b) ピストンが最下点に達したときのピストンの位置エネルギーの初期状態に対する変化量m[kg]S[]を用いて表せ。
(c) 前問(a)(b)の結果を用いてを求めよ。

[B] 次に、B室にもA室と同じ理想気体を1モル封入した。このシリンダーを図2に示すように、水平面内で回転できる円盤上に固定した。シリンダーの中心軸は円盤の回転軸に直交し、A室が円盤の外側を向いている。B室側のシリンダー端面には熱源を接続し、B室の気体が圧力を常に一定に保ちながら状態変化するように熱を供給する。円盤が静止しているときのA室の気体の体積、温度、圧力は、それぞれであり、B室の気体の体積、温度、圧力は、それぞれであった。この状態を状態1と呼ぶ。円盤を静かに回転させ始めたところ、ピストンは静かに動き始め、その後、円盤の回転角速度を徐々に増し、ある回転角速度に達した後は等速回転させた。このとき、ピストンはA室とB室の気体の体積が、それぞれとなる位置で静止していた。これを状態2と呼ぶ。このA室とB室の気体の状態変化をシリンダーとともに回転する観測者が見るとして、以下の問いに答えよ。
(d) A室とB室の気体の状態変化の概略を、それぞれ解答欄のpV図上に描け。A室とB室の状態12をそれぞれA1A2B1B2として図中に示し、各状態における圧力と体積を明記すること。ただし、A室の気体の状態2における圧力としてを用いてよい。なお、解答欄の図には、1モルの理想気体の温度における等温変化の曲線が記入されている。これらの曲線との関係も考慮して記入すること。さらに、円盤の回転によりピストンにはたらく遠心力がA室の気体にした仕事に対応する領域を斜線で示せ。
(e) ピストンにはたらく遠心力がA室の気体にした仕事を求めよ。
ただし、[A]の結果を用いてもよい。

解答 難問ではありませんが、仕掛けが込み入っているので、符号をミスしないように、気体のした仕事なのか、された仕事なのか、変化の前と後でどう変わったのか、よく注意してください。
[A](a) 1モルの気体の温度からまで変化するので、内部エネルギーの式:より、
......[]

(b) ピストンの高さの変化は、体積からまで変化したので、
ピストンの位置エネルギーの変化量は、
......[]

(c) この間の変化で気体がした仕事は、(b)に等しく、断熱変化なので、熱の移動0,よって、熱力学第一法則より、
......[]

[B](d) B室は、定圧変化圧力で一定、体積と変化します。
A室は、断熱変化体積圧力と変化します。断熱変化pV曲線の傾きは、等温変化pV曲線の傾きよりも急傾斜であることに注意して図を描くと右図のようになります。

また、ピストンに働く遠心力がA室の気体にした仕事B室の気体がした仕事とすると、A室の気体がした仕事で、右図のの曲線(Vの大きい方から小さい方へ動くことに注意)V軸で囲む部分の面積()になります。
よって、
は、右図のの線分とV軸で囲む部分の面積です。従って、
 ・・・① は、右図斜線部の面積になります。

(e) を求める必要がありますが、断熱曲線の式(ポアッソンの関係式)を積分するのでは大変です。[A]の結果を用いてもよい、というヒントを考えると、[B]においても、A室の気体は、[A]と同様に断熱変化体積と変化しているので、A室の気体のした仕事は、(b)に等しく、です。
よって、①より、 ......[]

別解 [A]の結果を用いてもよい、というヒントは、用いなくてもよい、とも読めるので、以下のような解答も可能です。
は、断熱変化なので、気体の比熱比gとして、ポアッソンの関係式より、

また、gについて、
 ・・・② (マイヤーの関係式を参照)
A1状態方程式
 ・・・③
A2における温度として、
A2状態方程式
③より、
における内部エネルギーの変化は、
熱力学第一法則より、
②を用いて、
......[]
気体定数Rも与えられているので、③を用いて、
と解答することもできます。


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テーマ:大学受験 - ジャンル:学校・教育

  1. 2007/08/14(火) 18:08:01|
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