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東工大数学'11年前期[2]検討

東工大数学'11年前期[2]検討

[2](解答はこちら) [1]と同様に、この問題も落とせない問題ですが、'10年前期[1]でも出題された絶対値を含む関数の定積分の問題で、2年続いて同一テーマの出題となります。
東工大前期では、
2年続けて同一テーマの出題、ということを時折見かけます。絶対値を含む関数の定積分も、'01年前期[1]の計算が出題された翌'02年前期[1]にも2年続きで出題されています。他にも、'92年前期[5]の計算が出題された翌'93年前期[2]の計算が出題され、'96年前期[1]で、方程式の正の整数解が有限個しかないことを示す、という問題が出た翌'97年前期[3]に、nを自然数、rを正の有理数とするとき、をみたす自然数の組の個数が有限であることを示す、という問題が出題されています。
今年で言うと
[4]がやや無理な出題ですが、同じようなコンセプトで来年も出題してくるということが考えられます(もっとも、東工大出題者がこのウェブサイトのこの記述に気づいてしまうと、敬遠すると思いますが)
想像するに、東工大出題者が、当然この程度のことはしっかり勉強してきてくれているはず、と、期待して出題したところが思いのほか出来が悪く、教育的配慮から受験生に警告を与える意味で、
2年連続で同一テーマの出題をしようという気になるのではないか、と、思います。
定積分の原理的意味を理解していれば、まさか、安易に、などとはやらないだろうと期待して出題しているのに、受験生の側が、面倒だからだとして計算をやっておいて採点者が見間違えないかと期待しているかのような答案を書いてくる、という現実を前に落胆して、
2年連続の出題、と、なるわけです。
こうした東工大前期の出題傾向を見ていると、東工大は、あれこれと細かい知識を要求しているのではなく、高校数学の重要テーマをしっかり勉強してきて欲しいと受験生に要求していることがわかります。
知識量を要求するのであれば、
2年連続で同一テーマの出題をするはずがないのです。従って、他の難関大学では必ずしも過去問をていねいに見ておく必要はありませんが、東工大では長期にわたって過去問をしっかりと勉強しておくことが大切です。その分、些末な受験技巧まで修得しておく必要はありません。重要テーマについて、レベルの高い問題にも取り組めるような深い勉強が求められているのです。東工大志望者は、こうした東工大出題の特性をよく注意して受験準備をするようにしてください。


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  1. 2011/05/29(日) 20:21:38|
  2. 東工大数学'11年
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東工大数学'11年前期[1]検討

東工大数学'11年前期[1]検討

[1](解答はこちら) 昨年同様、本年も東工大前期は、[4]以外は標準的で、[1][2][3]で確実に得点しておく必要があります。
[1]は、(1)が不動直線、(2)が定積分公式、(3)が数列の和の技巧を扱う基本問題です。
90年代に大流行した不動直線の問題は、高校カリキュラムの改訂によって一時出題されなくなりましたが、「ゆとり教育」見直しによって出題範囲が広がりつつある中で再度出題されるようになってきました。本問では基本的なことが問われているだけですが、'09年前期[2]にも本格的な問題が出題されています。
また本問
(2)で使われている公式を使う問題が、'94年前期[1]にも出題されています。同様の公式を使う問題も''03年前期[1]に出題されています。こうした計算公式も東工大では重要事項です。
本問
(3)の求和技巧も、昨年前期[2]でもお目にかかったものです。東工大では、重箱のすみをつつくようなテーマはほとんど取り上げられません。数学の本流となっている重要受験技巧をしっかり修得して王道を歩くということを心がけてください。


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  1. 2011/05/26(木) 21:38:03|
  2. 東工大数学'11年
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東大物理'11年前期[3]検討

東大物理'11年前期[3]検討

[3](解答はこちら) 本問は、Ⅱ(3)(4)を除けば、教科書の例題レベルの基本問題です。東大と言えども、合格のためには教科書をしっかりマスターするところから始めるべきだ、ということがわかる問題です。難関大学だから、基本などやっている場合ではない、高級な受験技巧を修得するべきだ、という発想は、特に物理では誤りです。天体の運動や電磁気現象など、自然現象は、基本的な物理法則に従っています。複数の物体がからんで複雑になることはありますが、受験技巧に従って動くわけではありません。難解そうに見える入試問題であっても、基本的な物理法則に立ち返って考えるべきです。
さて、本問では、Ⅱ
(3)になると教科書の基礎事項だけでは扱いきれなくなります。教科書には、定圧変化、定積変化、等温変化、断熱変化の4種類の変化が説明されていますが、本問Ⅱの変化は、その4種類の変化のいずれにも該当しません。敢えて言えば、直線的変化とでも言うべき第5の変化をします。この変化の過程において、圧力も体積も温度も変化していきます。また、熱の移動もあります。入試では、ばねがついているピストンの問題や、空気バネの問題などで、こうした変化が出現します。従って、ここでは、気体のした仕事を、定圧変化のように、圧力×体積変化として計算したり、等温変化のように、気体のした仕事=気体の吸収した熱としたり、断熱変化のように、気体のした仕事=気体の内部エネルギーの減少分として求めることはできません。ここでは、pV図の面積として仕事を求めることになります。ここでは、台形の面積として仕事を求めることができるので必要はありませんが、問題によっては、圧力pを体積Vの関数として、Vからまで変化する時に気体がする仕事Wを、

として求めることもあります。ですが、これも、高級な受験技巧と言えるものではなく、
pV図の面積を定積分計算によって求めるというだけであって、pV図の面積は仕事を表す、という教科書レベルの基礎事項です。
本問Ⅱ
(4)では、問題文の「ピストンをさらに上昇させるために必要な熱量が0」という記述に「さらに」という言葉が入っているところに気づけるか、ということがポイントです。安易に熱量が0だからとして、などと解答するのでは、おかしい、と、感じる繊細な感覚が必要なのです。熱量が0だったら、そもそもピストンが上昇するだろうか?外部からのエネルギーの注入がゼロで上部の液体の位置エネルギーの増加分をどこから供給するのだろうか?というような疑問を感じることができれば、問題文の「さらに」という言葉の意味するところ、ある高さまでピストンが上昇していて、そこからさらに上昇するために供給されるべき熱がゼロになるところはどこか、つまり、熱量の変化率がゼロになるところはどこか、と、考察が進むと思います。
入試の戦略としては、Ⅱ
(4)を仮に落としたとしても、これが直接に合否に響くことはないと思いますが、ここを取れれば有利に働くのは確かです。物理の実力、とか、物理的な思考力、というよりも、自然現象の細かな変化にも気づけるような繊細な感覚をもっているか、ということが、本問では分かれ目になると思います。
なお、解答の
Qxの図では、の部分も描かれていますが、ピストンが上昇を続けているのに気体が熱を奪われる、という局面は物理的に存在し得ません。問題文にあるように、となった時点で突沸が起こり、ピストンが一気に上昇してしまうことになります。


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  1. 2011/05/24(火) 21:10:40|
  2. 東大物理'11年
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東大物理'11年前期[2]検討

東大物理'11年前期[2]検討

[2](解答はこちら) コッククロフト・ウォルトン回路は、1932年に行われた、水素原子核(陽子)とリチウム原子核の核融合実験において、陽子の加速に用いられた高電圧発生回路です。陽子を0.6MeVにまで加速してリチウム・ターゲットに衝突させ、1回の衝突で2個の高エネルギーα粒子(ヘリウム原子核)が発生することを確認しました。α粒子のエネルギーは17.9MeVでした。この反応は、
という核反応式で表されるのですが、核融合反応により大きなエネルギーが得られることが確認された史上初の核融合実験です。
(2)では、コッククロフト・ウォルトン回路の動作原理を扱う問題としたかったのだろうと思いますが、東大物理の試験時間75分では厳しい、ということで、問題文で考え方を指示してさわりだけを考える問題になっています。
「電荷移動が起こらなくなった」という問題文の指示を理解できれば容易に解答を求めることができるのですが、壮大な回路の動作を一歩ずつ調べながら解こうとすると、ハマってしまうことになります。まともではやりきれないことを感じたところで、問題文の指示の意味を考え、方針転換できるか、ということがこの問題の分かれ目です。
解答で「スイッチ
Sの切り換え、1回目、2回目、・・・、と各コンデンサーの電圧を調べて行きたくなるのですが、本問では、手に負えなくなります。」と書きましたが、調べて行くとどうなるか、こちらでやってみることにします。
逐次、各コンデンサーの
電圧を求めてみます。間のコンデンサーを間のコンデンサーを (),コンデンサー両端の電圧電荷 (上側の極板を正) ()とします。
スイッチ
S側に接続し、その後、電荷移動がなくなってから、スイッチS側に接続し、電荷移動がなくなるのを待って、1回の操作とします。
全てのコンデンサーの
電圧がゼロの初期状態から、1回目の操作を行います。スイッチS側に接続すると、となります。スイッチS側に接続すると、の上側の極板に合わせて電荷があり、

2回目の操作では、スイッチS側に接続すると、
ここで、となりますが、これが、次のS切り換え後のの上側の極板の電荷になります。
スイッチ
S側に接続すると、の上側の極板に合わせて電荷があり、

3回目の操作では、スイッチS側に接続すると、
スイッチS側に接続すると、の上側の極板に合わせて電荷があり、

このまま継続しても展望はありません。スイッチ
S側に接続したときに成立する式、
において、電荷移動が起こらなくなれば、となるはずなので、
となることに気づけるかどうかが本問のポイントです。


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  1. 2011/05/20(金) 23:37:21|
  2. 東大物理'11年
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東大物理'11年前期[1]検討

東大物理'11年前期[1]検討

[1](解答はこちら) 2011年の東大物理は、[2]の後半と[3]の最後の部分が考えさせる問題なので、[1]の力学は軽めになっています。と言っても、それは問題に取り組んでみて結果的にわかることで、ちょっと見にはモーメントを考えるような問題に見え、プロの予備校講師でもなければ後回しにしたくなる問題でしょう。実戦的には、[2]Ⅰと[3]Ⅰ,[3]Ⅱの前半を見て、[1]に戻り、なあんだ、大したことない、ということになると思います。大切なことは、この[1]をパスしない、ということです。特に、[2]Ⅱに深入りしすぎて[1]を解く時間がなくなってしまった、ということのないように注意が必要です。
本問Ⅰは、取り組んでみると、モーメントを持ち出すような局面はなく、平凡に、円運動の運動方程式、力学的エネルギー保存、運動量保存で解けてしまいます。Ⅱにしても、滑り出す限界で静止摩擦力が最大静止摩擦力になる、という頻出問題なので、それほど時間をかけずとも正解に到達できるでしょう。
東大物理は、試験時間が化学と合わせて
150分で、東工大物理や京大物理よりも短いので、どうしても大がかりな問題は出しづらく、数学で難解な問題が出題されることへの対策が必要になることを考えると、物理では、むしろ標準的な問題に力を入れて準備する方が賢明だと思います。
本問
[1]も、設定が少々風変わりで、棒が物体Bを押す方向を力の正の向きにするなど多少意地悪(力の向きで混乱しないように注意が必要です)だし、易問とは言えませんが、見かけ倒しで中身は不等速円運動の頻出パターンと変わりはありません。他の年度を見ても、時々無理問題もありますが、大半は、教科書が熟読されていて、標準的な問題集でしっかりと練習できていれば、充分に得点できる問題です。あらゆる問題のパターンを網羅的にこなそう、とするのではなく、限られた特徴的な問題を物理的な視点から基本的物理法則に立ち返って深く考察する、という効率的な学習法を心がけるようにしてください。


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  1. 2011/05/18(水) 10:43:19|
  2. 東大物理'11年
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東大理系数学'11年前期[6]検討

東大理系数学'11年前期[6]検討

[6](解答はこちら) 本問は、(1)はともかく、(2)以降は深入りすると、得点的には非常に不利になります。時間無制限にのんびり解くのであれば面白い問題ですが、制限時間がついているときに、紆余曲折なしで正確な議論に到達するのは無理です。中間点狙いの粗い議論で妥協してどんどん計算していかないと不覚をとる恐れが出てきます。昨2010年前期[6]2009年前期[6]2008年前期[6]と、最近は前期[6]に無理な問題が来ています。2012年前期[6]に無理問題が来るかどうかはわかりません。無理問題が第1問に来る時もあります。試験会場で、最初に全問を見渡してしっかり戦略を立ててから取り組まないと、時間切れで解ける問題をみすみす失って涙を飲む、ということになりかねません。よく注意してください。
解答中に注記しておきましたが、本問
(3)では、zを固定するよりもxを固定する方がラクです。ただし、解いてみてわかることなので、この辺は、運・不運があります。試験場で採用した解法が、その問題では、たまたま煩雑な手順になる、ということも充分にありうることなので、東大理系受験生は、解法を修得したというだけで安心してしまわないで、各解法の利害得失についても研究しておくようにしましょう。つねにベストな解法を目指す、ということをやっているとかえって不利になる、と私は思いますが、試験場で、これは大変だ、ということになったときに、即座に方針転換するだけの勇気と事前の解法研究、そして問題を見極める眼が必要だと言えるでしょう。
(3)x固定で考えると以下のようになります。
 ・・・①
(1)の結果を代入して、
(i) のとき、 ∴
(ii)
のとき、 ∴
(iii)
のとき、
(iv) のとき、 ∴
yz
平面内で、
z切片は
においてとすると
においてとすると
()
における接線は
においてとすると

z固定と比べて、の場合分けのようなことが起こりません。
yz平面に平行な平面でVを切ったときの断面は、3頂点とする直角二等辺三角形と、4頂点とする正方形を合わせた図形から、曲線y軸、直線で囲む部分を除き、さらに、4頂点とする台形を除いた図形で、断面積は、


Vの体積は、

となります。出題者は、こちらの方の解答手順を想定していたと思われます。


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  1. 2011/05/17(火) 01:22:33|
  2. 東大数学'11年
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東大理系数学'11年前期[5]検討

東大理系数学'11年前期[5]検討

[5](解答はこちら) 問題文を見ただけで敬遠したくなる問題ですが、2011年の6題の中では、最もチャレンジのしがいのある問題であり、また、合格・不合格に大きな影響を与える問題だと思います。解答を見ればわかる通り、本問で前提とされている知識は等差数列の和の知識くらいなものです。教科書しか勉強してこなかった、という受験生でも取り組める問題です。経験したことがない問題だからパス、とした受験生には厳しい結果が待ち受けていたことでしょう。
東大が育成しようとしている人材は、経験したことがある問題にしか取り組めない人材ではなく、経験したこともない問題にも積極的に挑戦しようという人材である、という出題者の意図が伝わってくる問題です。東大でも、本年
[1][4]のような問題も出るので、経験によって解決できるはずの問題は、もちろん解決できなければいけないし、さらに、未経験の問題にも立ち向かう気持ちを持っていなければいけない、ということなのです。東大受験生は、もちろん、標準的な大学で出題されるような問題もこなせるし、それでいて、普通の人が顔をそむけてしまうような問題にも取り組まなければならないのです。
原子力発電所が困難な問題を抱えています。安全に原子炉を停止させるのにどうしたら良いのか、まき散らされてしまった放射能をどう処理するのか、原子力に代わるエネルギー源をどう確保するのか、解決不可能に見える技術的な課題がたくさんありますが、日本中の技術者が全員、経験したことがないから私には対処できません、と、言い始めたら、日本全体が立ち往生してしまいます。解決不可能に見える問題でも、誰かがいろいろアイデアを捻り出して、解決策を考え出していけなくてはなりません。東大が育成しようとしているのは、そうした人材なのです。
そうした観点から言えば、
2011年度の問題の中では、本問こそ最も東大らしい問題であり、この問題から目をそむけるなら、その時点で東大受験の資格はないと言うことになります。
本問は、パターンとか、とか、見たこともない記号が登場してきますが、問題文の中で記号や概念を定義し、その記号や概念を用いて解く、という問題は、本年
[2]も含め、実は、慶大理工'01[B1][B2]や早大理工'97[4]の「変形可能」など、難関大学ではしばしば見られるものです。教えられたこと、経験したことの中だけで問題を解こうとするのではなく、解法を考えている中で、問題文の裏に潜んでいる事実を発見し、新たに解法を発明していく、というタイプの問題にも挑戦する、ということは、東大受験生に限られることではありません。新しいことに挑戦するのでなければ人類には進歩はない、ということもよく考えて頂きたいと思います。
そうした意味で、こちらをご覧の皆さんには、勉強に限らず、今まで未経験のことにも創意工夫の気持ちをもって積極的に挑戦して頂きたいと思います。受験技巧を数多くマスターして、受験技巧のライブラリの範囲内の問題を解くばかりでなく、各問題ごとに、どうやれば解けるのか、解法を発明する気持ちで取り組んで頂きたいのです。一見して勉強とは無関係に見えるようなことでも、未体験問題での発想法や創造力を鍛えるのに役立つ、ということはいくらもあります。受験数学と無関係に見えるようなことでも、目をそむけないようにしましょう。
最後にもう一言書いておくと、新奇性の強い問題が論理的にも複雑だったら、制限時間内に誰にも解けないでしょう。新奇性の強い問題は、見かけ倒しで意外と易問であることが多いのです。本問も、空間内の格子点を数える問題と同じだと見破ってしまえば、解法のレパートリー内で片付いてしまう問題と言えなくもありません。



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  1. 2011/05/13(金) 10:35:23|
  2. 東大数学'11年
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東大理系数学'11年前期[4]検討

東大理系数学'11年前期[4]検討

[4](解答はこちら) 本問はややひねられていると言え、標準問題なので落とせません。東大でも、こうした標準的な問題が毎年必ず出題されるので、試験会場では、これを確実に得点することを目指してください。
04年理系前期[1]には、本問の二等辺三角形を正三角形とした問題が出題されています。本問とは異なるタイプの問題ですが、やはり対称性を活かして考える問題でした。放物線を題材とした図形と方程式分野の問題は、他にも93年理系後期[3]などしばしば見かけます。
08年理系前期[4]では、本問と同様に、放物線と直線との2交点の間に対称性があるので、2次方程式の解と係数の関係、対称式を利用して解くことになります。こうした問題は東大に限らず頻出なのですが、いわゆる頻出技巧は、東大受験者であっても、しっかり修得しておく必要がある、ということを示唆しています。
ただし、
2次方程式の2解の間に対称性がない状況設定の07年理系前期[3]は、頻出技巧だけでは解決のできない難問でした。
放物線と直線との
2交点の間に対称性があれば、放物線の方程式、直線の方程式を連立して得られる2次方程式の2解をαβとして、解と係数の関係によって、を求め、対称式の性質を使って考えて行くことができます。このときに1つ注意点があります。本問でも、問題文に何の記述もありませんが、「αβが、交点のx座標になっている」というところに条件が隠されています。「座標」ということは、実数でなければならないので、2次方程式が実数解をもつ条件:判別式≧0を考える必要があります。これを見落とさないようにしてください。
上を点が動くとき、点が描く軌跡を求めよ、というような問題でも同様です。として、対称式を利用すれば、

 ∴  ・・・①
という具合に軌跡の式を求めることはできるのですが、xy2解とするt2次方程式:
が実数解を持つことから、
判別式: ∴
①より、
 ∴
という条件が隠れています。軌跡は、放物線①のの部分、となるので注意してください。


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  1. 2011/05/11(水) 13:19:13|
  2. 東大数学'11年
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東大理系数学'11年前期[3]検討

東大理系数学'11年前期[3]検討

[3](解答はこちら) 昨年の[4]をさらにややこしくした積分計算の問題です。解答の積分計算は、思い切り遠回りになっていて、を使って表し直すあたりは非常に面倒ですが、これでも、時間内には計算しきれるだろうと思います。時間内にはとてもやりきれないと感じるのであれば、別の解法を考えるべきですが、時間内に収まりそうなら、計算技巧にこだわって時間をロスするよりも、計算を強行してしまったほうが速い、ということも考えるべきです。制限時間内にまとめきれる自信のある解法の工夫にはチャレンジすべきですが、まとめきれるかどうか確信がもてないのに解法を凝るのは失敗に直結します。
この積分計算では、とおいて計算することができます。

また、より、

tのとき、u





より、

よって、
とする方がラクです。ただし、とおくことに根拠があるわけではないので、本問をとおくのがテクニックだ、などとして暗記しても無意味です。多分、この置換積分の置き方は、今後50年は東大ではお目にかからないでしょう。


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  1. 2011/05/09(月) 05:40:03|
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東大理系数学'11年前期[2]検討

東大理系数学'11年前期[2]検討

[2](解答はこちら) 本問は、(1)で実例を考えることを受験生に促しているので、問題文で定義されている記号をこわがらなければ、(1)(2)は解答できると思います。
(3)は、とかとかして、ちょっと実験してみれば容易に題意はつかめると思いますが、論理的にきちんと示そうとすると難しい、という問題です。ですが、この問題は、完全解答は厳しいとしても、説明の巧拙は抜きにして、割る数がだんだん小さくなって割り算の余りもだんだん小さくなるので、最悪、余りがから1ずつ減っていったとしても高々q回の操作で余りが0になり、0になる、ということを何とか論述したいところです。
こういう問題は、弟や妹、あるいはクラブの後輩に、分数の加減乗除の計算法や、因数定理・除法の原理などを説明するのに苦労した経験があるかどうか、ということが大きく影響します。あいまいな説明だったり、当たり前だから当たり前と言い張るのでは、相手もなかなか納得してくれません。論理的に明快に説明する必要があります。あまり厳格に考えすぎると、時間がどんどん経過してしまうので、適当なところで妥協する必要はありますが、気持ちとしては、きちんと論証しようという意識をもつべきです。
解答では、整数
pを整数qで割るときの余りがqより小さいことに着目して、からを作るとき、逆数にして、分子を分母で割るときの余りの数列を考えました。
なら、以降は
0です。なら必ずこうなります。
のときは、
2で割ったときの余りは01なので、ならになります。
であっても、あるいはであれば題意は成立します。
のときには、数学的帰納法の枠組みを使って、のときの余りがのときの割る数になりながら、余りの数列が単調に減少していくことを示しています。
この途中で、運良く余りとなれば、であっても、で、以降は
0になります。
非常に運が悪くて、からまで全部
0にならないとき(実際にはkを非負整数として、 ()のとき、 ()のとき、くらいにしか起こらない)でも、となるので、であれば、となり、になる、というストーリーになっています。
もっと簡単に説明することも可能でしょう。各自、工夫してみてください。
試験会場では気が焦るので、じっくりと論証の構想を立てることが難しいのですが、この問題では、
10分以上、場合によっては数十分かけて構想に費やす勇気を持つべきです。
原子力発電所の安全性が厳しく問われていて科学技術に対する信頼性が失われているとき、科学者・技術者が、自分にとってはわかりきったことでも、一般の人に納得してもらえるように、明快に説明する能力が重要だ、ということを東大の出題者は意図しているように思います。



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  1. 2011/05/06(金) 10:24:36|
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東大理系数学'11年前期[1]検討

東大理系数学'11年前期[1]検討

[1](解答はこちら) 難問ひしめくイメージのある東大の数学ですが、毎年、他の国公立大学でも普通に出題されるような標準的な問題が1題~2題、出題されます。2011年では、この問題と[4]がそうした問題に当たります。
試験会場では、試験開始後最初に全体を見渡して、こうした標準問題を探すことから始めます。手間のかかりそうな計算問題、論理的に複雑そうな問題を後に回すようにします。
2011年では、[3](2)[6](2)(3)を後に回します。[3](1)[6](1)[5][2]という順番に攻めて行き、ここまででミスがないようによく見直して確実に得点します。[5][2](3)の論述は手間取ると思いますが、この辺が合格・不合格の分かれ目になるので、ここには力を入れます。ここまでできたところで時間的に余裕があるなら[6](2)[3](2)に進むようにしますが、ここは、ある程度のところで妥協することになるでしょう。おもしろい問題ですが[6](3)に夢中になったりすると、他の問題に時間をさけなくなり、得点的には不利になります。余程腕力に自信のある人以外は、[6](3)は諦めるべきでしょう。
さて、そうした観点から
[1]は絶対に落とせない問題です。円と直線がからむ問題で、円の中心と直線との距離に着目するのは、教科書レベルの必須技巧です。(2)は、出題者の意図に沿って解答するなら、ミスのないように微分計算を行い、増減表を書いて最終解答にたどりつきます。(1)の利用を避けて(2)単独で2次関数に持ち込むこともできますが、微分計算くらいしっかり練習しておけよ、という出題者の希望を入れて、確実に商の微分法の計算をするのでよいと思います。
従って、この問題を見れば、東大を目指す受験生も、いわゆる頻出問題で使う重要技巧は必ず修得しておくべきだということがわかります。
[1][4]だけでは、他の科目で大きく貯金していない限り合格は困難ですが、[1][4]を落とすようでは、合格はほぼ不可能です。
東大入試では、受験数学の細かい技巧に関する知識は無くても大丈夫ですが、教科書にも出てくる重要技巧については、知らないとか忘れた、ということは許されないのです。Ⅰ
ABではセンター試験もあるわけで、教科書レベルの内容であれば、いついかなるときに聞かれてもサッと思いつける、と自信を持って言えるようになるまで、教科書の復習をしっかりやっておくことが東大理系受験においても重要です。
また、今年、円と直線の問題が出たからと言って、東大では、円と直線が重要だ、などとは全く言えません。今年たまたま出題されたというだけであって、今後
10年間採り上げられない、という可能性もあります。過去問をていねいに見ておく必要はありますが、過去出題された分野以外はやらない、という戦略は誤りです。高校数学の全分野にわたって、教科書を網羅的に修得するように心がけてください。
なお、
Aとして、解答の図でとおくと、より、のとき最大で、このとき、
三角形
APRにおいて正弦定理より、
 ∴
より,従って、


とすることもできます。



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  1. 2011/05/05(木) 16:53:17|
  2. 東大数学'11年
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京大物理'11年[3]

京大物理'11[3]

次の文を読んで、  に適した式を、それぞれの解答欄に記入せよ。また、問1,問2については、指示にしたがって、解答を解答欄に記入せよ。

断面積
Sの十分に長い両端が開口しているシリンダーを考える。図1のように、シリンダーの片方は質量mのピストンでふさがれており、もう一方は栓を用いて中の気体を封じ込めることができる。この栓とシリンダーの間の最大摩擦力の大きさはFである。シリンダー、栓、ピストンは、いずれも断熱材でできており、これらは熱を通さない。シリンダーの内部には、温度制御装置が組み込まれており、中の気体を加熱または冷却することができる。シリンダー、栓、ピストン、温度制御装置の熱容量は無視できるものとし、温度制御装置の体積は十分に小さく、ピストンの運動を妨げないものとする。また、ピストンとシリンダーの間の摩擦は無視できるものとする。
いま、このシリンダー、栓、ピストンからなる容器の中に
1molの単原子分子からなる理想気体が封入されている。以下、外気の圧力を,気体定数をRとする。

(11) 初期状態(状態A)では、容器内部の気体の温度は,圧力は外気と同じであった。この状態Aからピストンの位置を固定したまま、温度制御装置で中の気体を加熱していったところ、ある温度で栓が動き始めた。この動き出す直前の状態をBとする。そのときの温度は あ であり、状態Aから状態Bに変化させるために要した熱量は い である。

(12) 再び状態Aに戻し、容器内の圧力が常にとなるようにピストンの位置を調節しながら温度制御装置で熱を加えたところ、容器内の気体の体積が8倍になった(状態C)。状態Aから状態Cまでの気体の内部エネルギーの変化量は う であり、温度制御装置が与えた熱量は え である。

以下では、必要ならば、「単原子分子からなる理想気体の断熱変化では、は一定である」ことを用いよ。

(13) 再び状態Aに戻し、今度は温度制御装置は使わず、断熱した状態でピストンを十分にゆっくりと動かし、気体を体積が8倍になるまで膨張させたところ、栓はまだ静止したままの状態であった。この状態をDとすると、その温度は お であり、AからDへの変化で、容器の中の気体が外にした仕事は か である。また、栓が動かなかったことから、最大摩擦力F き より大きいことがわかった。

1 容器に封入した理想気体を、状態ACDAの順で十分にゆっくりと変化させる熱機関を考える。ただし、ACCDDAのプロセスは、それぞれ定圧変化、定積変化、断熱変化である。この熱機関1サイクルの状態の変化を、横軸を体積、縦軸を圧力として図示せよ。また、この熱機関の熱効率を導出の過程とともに示し、有効数字2けたで求めよ。

(2) 再び状態Aに戻し、次に温度制御装置を切ったままピストンを静止位置から少し動かして放すと、栓は動かないままピストンは振動を始めた。このとき、ある時刻における圧力をp,ピストンの加速度をaとすると、ピストンの運動方程式は、 く となる。ただし、ピストンの加速度は内部の気体が膨張する向きを正とせよ。ここで、振動中において、容器中の気体の圧力と温度は各瞬間で一様であるとみなせるものとする。

2 (2)においてピストンの状態Aの位置からの変位は十分に小さく、振動は単振動であると仮定して振動周期を求めよ。ただし、導出の過程も示せ。ここで必要ならば、絶対値が十分小さな実数ε ()に対し、と近似できることを用いてよい。ただし、αは任意の実数である。

解答 定積変化、定圧変化、断熱変化の基本問題に単振動がプラスされた融合問題です。

(11)() 初期状態(状態A)でのシリンダーの気体存在部分の長さdとして、状態方程式
 ・・・①
栓が動き出す直前(状態B)圧力温度として、状態方程式
 ・・・②
②÷①より、 ∴
動き出す直前に、栓に働く静止摩擦力の大きさはFです。状態Aから状態Bまで加熱しているのでより、静止摩擦力の向きは左向きです。このとき、栓に働く力のつり合いより、
......[]
() 状態Aから状態Bまで気体は定積変化をします。状態Aから状態Bに変化させるために要した熱量は、定積モル比熱の式(単原子分子理想気体なので定積モル比熱)より、()の結果を用いて、
......[]

(12)() 状態Aから状態Cまで気体は定圧変化をします。状態Cでのシリンダーの気体存在部分の長さです。このとき、温度として、状態方程式
 ・・・③
③÷①より、
状態
Aから状態Cまでの気体の内部エネルギー変化量は、
......[]
() 状態Aから状態Cまでの間に気体がした仕事は、
 ( ) ・・・④
熱力学第1法則より、温度制御装置が与えた熱量は、()の結果を用いて、
......[]
別解.単原子分子理想気体では、定圧モル比熱です。定圧モル比熱の式を用いると、温度制御装置が与えた熱量は、

(13)() 状態Dにおける圧力温度とすると、状態Dでの状態方程式
 ・・・⑤
⑤÷①より、 ∴  ・・・⑥
問題文の「は一定」
(ポアッソンの関係式)を用いて、
 ∴  ・・・⑦
⑥より、 ......[]
() 容器の中の気体が外にした仕事は、状態Aから状態Dまでの内部エネルギーの変化として、熱力学第1法則より、
()の結果を用いて、
......[]
() このとき栓に働く静止摩擦力fとして、栓に働く力のつり合いは、
⑦を用いて、
栓が動かないので、 ......[]

1 熱機関のACDAの状態変化において、は、と変化します。図示すると右図太線。
状態ACDAの状態変化の中で吸熱変化はACで、ACの変化で気体が吸収するは、()より
気体がする
仕事は、ACの変化で④よりCDの定積変化では0DAでは()のの結果(AD)の符号を変えて
状態
ACDAで気体がする仕事は、
熱機関の1サイクルの熱効率は、
......[]

(2)() ピストンに働くは、気体が膨張する向きに,これと逆向きにです。
ピストンの運動方程式 ・・・⑧
......[]

2 ピストンが、気体が膨張する向きに、初期状態(状態A)からxだけ移動しているとき、シリンダーの気体存在部分の長さ,「は一定」(ポアッソンの関係式)より、
問題文に指定されている近似を用いて、
⑧に代入して、

これは、角振動数単振動を表します。
①より、
よって、単振動の
周期Tは、
......[]


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